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地元の大田区や商店会も加わっているとはいえ、地元住民を無視して、F銀行をはじめ東急、京浜、K建設などの大企業本位に開発がすすめられる道具立てがそろっている。
批判をあびたF銀行は、結局、この企画の中止に追い込まれた。
だが、こぞって個人向け金融の拡大を図る大銀行が、クレジットカードやカードローンの売り込みに躍起となっている姿をみせつけた。
なかでも、〈お手つき〉や〈勇み足〉すら奨励するF銀行の猛烈商法をきわだたせた。
こうした猛烈商法は、そのRCT作戦の発動でもあった。
端田頭取は、金融業界の週刊誌「金融財政事情」(八七年七月六日号)のインタビュー「収益確保へリーテイル部門を見直す」で、RCT作戦について語っている。
それによると、冒頭でもふれたが、RCT作戦の〈基本目標〉は、〈自由化に強い攻撃的な経営体質を構築し、収益恥1の永続的確立を図る〉ことに八六年七月から約四○万通のダイレクトメールを送り付けていたが、『日経流通新聞」(八七年一○月一三日付)も、「F銀「勇み足』」のタイトルで報じた。
F銀行のカードローンの利用者に景品をプレゼントすることは、公正取引委員会が認めた公正競争規約に反する。
また、抽選による景品のプレゼント、銀行界内部でも、全国銀行公正取引協議会の承認をえるという協定があるのに、その承認もとっていは、銀行室内でも〈業務開発力を強化して、その結果としてマーケットシェアの維持・拡大を図ろう〉というわけで、八七年春、市場開発部が設置された。
リーティル部門開拓の先端をいく担当部長が、くまず当部の性格上、仕事の原点を「お手つき、勇み足を恐れない」攻めの経営に徹することにおきたい〉と宣言している。
F銀行の〈勇み足〉の一つは、この市場開発部がつくった企画だった。
F銀行と系列のクレジットカード会社のFカードサービスが共同ですすめようとした、カード保有者へのプレゼント作戦だった。
個人向けのカードを売り込むために、新規加入者や利用者に抽選で景品をプレゼントしようというものだ〈コーポレートの部門は、だんだん伝統的な銀行業務では儲けられなくなってくるから、国際部門、あるいは資金証券の部門とタイアップして収益をあげていかなければならない。
つまり、日本の企業の国際戦略に従って、それと一緒に歩いて儲けていく。
あるいはそういう企業の財務戦略と一緒に歩いてそこで収益のチャンスをみつけていく。
それがコーポレート・バンキング、RCTのCの使命だと思う〉Tは、〈マーケットで常に勝ち抜く強いトレーディング・バンキングの確立〉を意味し、証券、債券などの売買取引の業務を強化することである。
むろんCのマネーゲームとも重なる。
八七年一○月二六日には、大手町の本店ビル四階に東洋一を誇る総合ディーリングルームを開設した。
また、RCTには、もう一つの意味を重ねて盛り込んでいる。
同行の総合企画部長は、〈Rにはレボルーション(革新)、Cにはチャンピオン(池1)、そしてTにはテクノロジー(新技術)の意味が併せて盛り込まれている〉(『銀行時評」八七年八月号)と語っている。
コンピューターのオンラインを活用し、情報産業化をめざしている。
F銀行は、このRCTの三部門のなかでも、個人と中小企業を対象にしたRを最も重視し、RCT作戦のなかでこの部門の戦略をプロジェクトRとも名付けている。
この部門を重視する理由は、高利で貸しにいっている。
RCTのRとは、〈収益力の強いリーテイル・バンキングの確立〉、つまり自営業者、中小企業などの小口取引で、儲かる銀行業務(バンキング)を構築することにある。
Cは、〈大企業取引をべースとした国際業務・証券業務の推進によるコーポレート・バンキングのグローバルな展開〉であり、世界を股にかけた大企業のマネーゲームを支えている。
本来の銀行業務からも逸脱したものであり、端田頭取もつぎのよう付けられるので儲かるからだ。
かつて大企業があいついで設備投資していた高度成長時代は、国民大衆から安い利子で資金を集め、それを大企業に貸し付けていた。
だが、いまや大企業はカネ余りで、生産のための投資よりマネーゲームや自己金融に傾いている。
端田頭取は、さきのインタビューのなかであけすけに語っている。
〈従来のリーティル分野のいちばんの目標は、個人の預金を吸収することだった。
それが主たる狙いで、したがって、リーティル的な展開をしている支店に与える目標でいちばん重要視したのは、個人預金の伸びであった。
しかし、そうではなくて、個人あるいは中小企業を貸出のマーケットとして見直してみなければいけない。
そこで預金を集め、貸出をすることによって儲けられる体質を築き上げていく〉〈それ〔集めた預金〕を今度、自分で貸せば、もっと高い金利で貸せる。
現にそういうマーケットはある。
このマーケットは、信販会社がやっていたり、あるいはクレジットカード会社がやっていたり、中小金融機関がやっていたりしている。
そういうマーケットは十分にあるから、そのマーケットへ出ていって、そこで自己完結的に儲けていくということだ〉要するに、国民大衆からいかに安い金利で金を集め、それをいかに高い金利で国民大衆に貸すかということである。
昔ながらの高利貸の論理と変わらない。
しかも、中小金融機関を踏み倒していく作戦でもあり、サラ金も顔負けの過剰融資で国民を借金潰けにしていく作戦でもある。
そのがめつさの現われが、さきの個人向けカードの売り込みを狙った〈勇み足〉のプレゼント作戦だった。
F銀行にかぎらず大銀行は、こうした一般国民を狙った企業戦略を展開しているが、実態はまだ国民の前に明らかにされていない。
以後は、F銀行のRCT作戦のなかでも、一般の国民のリーテイル部門を狙ったプロジェクトRの実態を明らかにしていこう。
ための商品といえる。
それは高利貸のソロバン勘定と同じだが、現代の銀行では、コンマ以下何ケタもの細かな「コンピューター勘定」となっている。
また逆に、コンピューターを駆使すれば、絶対多数の一般国民のケタちがいの小銭もマクロに取り込み、大儲けの勘定が成立する。
F銀行が預金などで集める資金は、大口と小口とではどのくらいちがうのだろうか。
『F銀行の現状」の「商品についての資料」によると、大口預金の「F自由金利型定期預金」は、〈わが国の本格的な金利自由化の第一歩を示す商品〉で、〈大口資金の運用に最適〉だという。
カネ余り企業の金利稼ぎ。
これは、八五年九月一日から、既存の定期預金のうち預入単位が一○億円以上の金利規制を撤廃したことではじまった。
その金利の自由化は、八六年四月から五億円以上に、同九月から三億円以上に、八七年四月から一億円以上に、それぞれ広げられてきた。
カネ余り企業は、株式や債券などに資金を投下して財テク、マネーゲームをつづけてきたが、八七年一○月一○日の株価暴落以降、株式や債券の市場は不安定になってきた。
そこで資金運用をこの大口定期に切り換える企業もあって急増。
八七年末には大口定期預金残高は四七兆五四○○億円で、前年末の二・七小口取引の個人や中小企業を対象にしたリーテイル部門がなぜ儲かるのか、F銀行の実際の業務から具体的に明らかにしていこう。
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